投資の(きわみ)

マネーゲームか?仕事か?

株式などの売買で生計を立てている人(以後「トレーダー」と表記する)の、お金を得るための行為(以後「トレード」と表記する)について考えることにする。

トレードは仕事ではないとする人達は「額に汗して働け!」と言う。
しかし、世の中、額に汗して働いている人だけで成り立っているわけではない。
脳みそに汗して働いている人もいれば、心臓に汗して働いている人もいる。
額に汗して働くことだけが尊いと考えるのは、職業差別ではないだろうか。

逆に、トレードは立派な仕事だと考える人達のその論拠は、主に次の2つである。

(1)トレードは大変であり、報酬を得るに値する。
(2)買った(仕入れた)価格に利益を乗せて売る(販売する)という点で、一般的な「商売」と同じである。

(1)について、例えば、私が近所の空き地に、来る日も来る日も、雨の日も風の日も、穴を掘り続けたとする。
この行為が大変であることは間違いないわけだが、報酬を得られるかと言えば、それはないだろう。
報酬を得られないどころか、他人の敷地に勝手に穴を掘っているわけだから、逮捕されてしまうかもしれない。

要するに、「大変であること」と「報酬」は繋がっていないのだ。
報酬を得るには、大変であるかどうかに関係なく、人の役に立つことが必要なのだ。
従って、(1)を論拠にして、「トレードは仕事だ」と言うことはできない。

(2)に関して、流通産業について考えると、当たり前のことだが、流通産業は、消費者の役に立たたなければ存在することはできない。
流通産業がどのような点で役に立っているかは割愛するとして、役に立っているから報酬を得ているのである。

では、トレーダーはどうか?
トレーダーがいなければ、流通が滞ってしまうだろうか?

確かに、買いたい時に買いたい数量を買えない、売りたい時に売りたい数量を売れない市場というのは、参加しづらい。
つまり、市場にとって流動性は大事であり、トレーダーは市場に流動性を供給していることになる。
しかし、程度の問題であり、トレーダーの売買によって価格が乱高下するのも、売買しづらくなって困る。

だが、それ以前に、トレーダーが「自分は他の市場参加者のために流動性を提供しているんだ」という意識を持っているかどうかが問題である。
儲かりそう(利益を出せそう)かどうかだけを考えてトレードしているのであれば、それは「仕事」ではなく、「マネーゲーム」でしかない。

また、トレーダーが流動性を適切に保つのに貢献し、他の市場参加者の役に立っていたとしても、その市場の存在意義についても考えておく必要がある。

例えば、あなたがある製品を販売し、それを購入した人が、人を傷つけるためにその製品を使ったとする。
どんな製品も、大概、いい使い方もできれば、悪い使い方もできるものである。
しかし、あなたが販売した製品が、人を傷つけてしまう用途しかなかったならば、あなたに責任は無いと言えるだろうか。
「必要としている人がいたから提供しただけ」と言えるだろうか。
仮に、いい使い方もできる製品であったとしても、それが適切に使われるかどうかを見守り、状況によっては、何らかの対応をしなければならないのではないか。
それが責任ある行動ではないだろうか。

私は、証券市場・金融商品にも同じことが言えると考えています。

最期に、私は、トレードがマネーゲームであったとしても、それは否定されるべき悪い事だとは考えていません。
自制心を持って臨むなら、マネーゲームを楽しんで構わないのではないでしょうか。(これで生計を立てている人は、楽しいどころかストレスが溜まる一方でしょうが)
ただ、自制心がなければ、自己破産という事になりかねないので、注意が必要でしょう。


2007年1月10日 記

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