投資信託とは
投資信託とは、たくさんの投資家からお金を集めて、それを運用のプロが株や債券などで運用する金融商品です。
銀行や証券会社で購入することができます。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託のメリットは、小口資金で分散投資が行えることや、個人では投資するのが難しい外国株式などにも投資できることです。
投資信託のデメリットは、投資対象の金融商品に直接投資を行うのに比べて、コストが高いということです。
一般コースと自動けいぞく投資コース
投資信託を購入する際に、「一般コース」と「自動けいぞく投資コース」のどちらかを選ぶことになります。
金融機関によっては、どちらか一方しか取り扱っていなかったり、同じ金融機関でも、各投資信託によって異なっていたりします。
一般コースは、「分配金受取コース」などと呼ばれることもあり、分配金を現金で受け取ります。
また、一般コースは、投資信託の購入を口数単位で申し込みます。
自動けいぞく投資コースは、「分配金再投資コース」、「累投コース」などと呼ばれることもあり、分配金は自動的に再投資されます。
自動的に再投資する時の購入手数料は、一般的に無料です。
また、自動けいぞく投資コースは、投資信託の購入を、金額を指定して申し込み、その金額で買えるだけの口数を購入します。
会社型と契約型
会社型投資信託は、投資を目的とする会社(投資法人)を設立し、投資家がその会社の株主となり、投資法人が得た収益を受け取ります。
代表的なものに、不動産投資信託(J-REIT)があります。
契約型投資信託は、委託者(投信委託会社)と受託者(信託銀行)が信託契約を結び、受益者(投資家)は投信委託会社が発行する受益証券に投資し、収益を受け取ります。
単位型と追加型
単位型投資信託は、ユニット型とも呼ばれ、初めに設定した募集期間中にのみ購入できる投資信託のことです。
追加型投資信託は、オープン型とも呼ばれ、基本的にいつでも購入・換金ができる投資信託のことです。
株式投資信託と公社債投資信託
株式投資信託は、株式を組み入れることができる投資信託のことです。
実際には株式を組み入れていなくても「株式投資信託」に分類されている投資信託もあります。
公社債投資信託は、安全性の高い公社債を中心に運用する投資信託のことで、MRF、MMFなどがあります。
公募投資信託と私募投資信託
公募投資信託は、不特定多数(50人以上)の投資家を対象とした投資信託のことです。
私募投資信託は、少数(50人未満)の投資家を対象とした投資信託のことです。
証券会社や銀行などの「適格機関投資家」のみを対象とする場合は、人数に関係なく私募投資信託として扱います。
国内投資信託と外国投資信託
国内投資信託は、日本の法令に基づいて設定・運用されている投資信託のことです。
外国投資信託は、外国の法令に基づいて設定・運用されている投資信託のことで、円建てだけでなく、外貨建で価格を表示するものもあります。
上場投資信託
上場投資信託は、株式市場で売買できる投資信託のことで、株価指数に連動するように運用されているETFや、不動産投資信託(J-REIT)があります。
ファンド・オブ・ファンズ(FOF)
ファンド・オブ・ファンズは、投資対象に投資信託を含む投資信託のことです。
投資信託にかかるコスト
投資信託にかかるコストは主に、買付手数料、信託報酬、信託財産留保額の3つです。
買付手数料は、投資信託を購入するときに支払います。
無料の場合もあります。
信託報酬は、投資信託を保有している間、運用資産から日々差し引かれます。
信託財産留保額は、投資信託の解約時に、解約額から徴収されます。
徴収されない投資信託もあります。
信託財産留保額は、投資信託の解約時に、その代金の支払いのために、保有している有価証券などの売却が必要な場合があり、その費用を解約者に負担してもらうことで、残りの投資家が不利益を被らないためのもので、投資信託の信託財産に組み入れられます。
また、一般的に競争が激しくなれば、価格は下がっていくものですが、投資信託にかかるコストは下がっていきません。
これは、投資家(投資信託の購入者)が投資信託にかかるコストをあまり気にしないことが原因ではないかと思います。
従って、コストが安く良質な投資信託が設定されるためには、もちろんより有利な資産運用のためにも、コストもよく吟味して投資信託を選ぶことが必要だと思います。
しかし、運用方針がしっかりしていて、その運用方針に忠実に従って運用されていて、運用成績の優秀な投資信託は、コスト(特に信託報酬)が高い傾向にあるため、コストの安さだけで選ぶことは避けた方がいいと思います。
分配金の税金
分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類があります。
普通分配金は、配当所得として扱われ、その20%(平成21年3月31日までは10%)が税金として源泉徴収されます。
特別分配金は、元本の払い戻しとして扱われるため非課税で、取得価額を調整することで、換金時に課税されることになります。
換金方法と税金について
投資信託の換金方法には、解約と買取請求、償還の3つがあります。
償還は、予め設定されている運用期間の経過後や約款で定めた条件を満たした場合に行われます。
償還・解約により換金する場合、償還・解約益は「配当所得」として扱われ、その20%(平成21年3月31日までは10%)が税金として源泉徴収されます。
償還・解約損は「株式等の譲渡所得等」として扱われ、他の「株式等の譲渡所得等」と損益通算できますが、確定申告が必要です。
償還・解約損益は、以下の計算式によります。
償還・解約損益=(解約価額-個別元本)×数量
個別元本とは、平均買付価額のことです。
買取請求により換金する場合、買取損益は「株式等の譲渡所得等」として扱われ、他の「株式等の譲渡所得等」と損益通算できますが、確定申告が必要です。
買取損益は、以下の計算式によります。
買取損益=(解約価額-個別元本)×数量-取得費
個別元本とは、平均買付価額のことです。
特定口座
特定口座を利用すると、確定申告に必要な譲渡損益等の計算、年間取引報告書の作成を証券会社が行い、これを用いて簡易に確定申告を行うことができます。
また、源泉徴収有の特定口座を開設すると、特定口座での売買における所得税・住民税が源泉徴収されるので、確定申告の必要はありません。
特定口座制度は、ほとんどの証券会社と一部の銀行で利用できます。
インデックスファンドとアクティブファンド
投資信託は、運用方針によって「インデックス・ファンド」と「アクティブ・ファンド」の2種類に分けることができます。
インデックス・ファンドは、ベンチマークとする指数に連動するように運用され、その運用手法のことを「パッシブ運用」と呼びます。
インデックス・ファンドの長所は、投資対象の調査(企業訪問など)をする必要がないため、コストが安いということや、ベンチマークとする指数に連動するように運用されているため、運用成果が分かりやすいことなどがあります。
インデックス・ファンドの欠点は、指数の内容の入れ替えの際に、これを利用して儲けようとする投資行動によって不利益を被るということがあります。
アクティブ・ファンドは、インデックス・ファンド以外の投資信託のことで、「ベンチマークとする指数を上回る運用成果を上げること」や「市場全体の動向に影響を受けない収益を追求すること」などを目標に運用され、その運用手法のことを「アクティブ運用」と呼びます。
アクティブ・ファンドは、投資対象の調査などをする必要があるため、インデックス・ファンドと比較してコストが高い。
アクティブ・ファンドには、さまざまな運用スタイルのものがあり、ある時期に運用成績が良かったからといって、将来も同じように良好な運用成果を上げ続けられるとは限らず、長期にわたってベンチマークとする指数を上回る運用成果を上げられる投資信託は極僅かしかない。
トップダウンアプローチとボトムアップアプローチ
投資信託(投資信託に限りませんが)の投資・運用スタイルの種類に、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチの2種類があります。
トップダウンアプローチは、通貨や資産クラス、業種などの配分を決めてから、個別銘柄の選別を行う運用手法のことです。
ボトムアップアプローチは、個別企業の調査・分析を重視する運用手法のことです。
ブル型とベア型
ブルベアファンドには「ブル型」と「ベア型」があります。
正確な言葉の由来は知らないのですが、「ブル」は、雄牛が角を突き上げる様から強気(上昇)相場を表し、「ベア」は、熊が手を振り下ろす様から弱気(下落)相場を表すと理解しています。
ブル型は、対象指数が上昇すれば利益が生じ、下落すれば損失が生じます。ベア型はこの逆です。
また、ブルベアファンドは、先物などを利用してレバレッジを効かせたものが多く、対象指数の数倍の動きをします。
従って、ブルベアファンドはリスクが高く、長期投資の対象になる投資信託とは言えず、相場観に自信がある場合や、短期のヘッジ目的で利用すべきものだと思います。
為替ヘッジあり・なし
海外の金融資産に投資する投資信託には、為替ヘッジを行うものと行わないものがあります。
海外の金融資産に投資すると、その資産の価格変動に加えて為替の変動によって、円換算の価格が上下することになります。
円安になれば円換算の価格は上昇し、円高になれば円換算の価格は下落します。
このような為替の変動による影響を小さくする目的で為替ヘッジは行われます。
しかし、為替ヘッジにはコストがかかるため、その分だけ運用成績にはマイナスです。
ヘッジファンド
ヘッジファンド的投資手法を用いた投資信託が増えてきたこともあり、個人でもヘッジファンドに投資できるようになってきていますが、ヘッジファンドに投資すべきかどうかについて考えてみたいと思います。
ヘッジファンドは、さまざまな投資手法や金融派生商品を用いることで収益の上下を抑えた運用を行います。
で、ヘッジファンドの運用成績を眺めてみると、大儲けしたヘッジファンドもあれば大損失を計上して清算されてしまったヘッジファンドもあり、結局のところ、非ヘッジファンドと変わらないように思います。
稀に、それなりの運用成績を安定的に出し続けているヘッジファンドもあるようですが、いつまでも続くとは思えません。
ヘッジファンドに関心がある人は、大儲けできなくてもいいから安定した運用を望んでいるのではないかと思います。
そんな方は、至極単純ですが、自分のリスク許容度に応じて、円建て短期債の配分を増やすというのが、最良のリスク低減策だと思います。
「円建て短期債」は、個人向け国債でもいいし、銀行の定期預金でも構いません。
極端な具体例で見てみましょう。
資産の1%で株式投資をし、残りの99%を利率0.5%の円建て短期債で運用したとします。
ある年に株価が暴落して株式部分の運用成績が-50%だったとしても、この年の運用成績はほぼ±0になります。
単純で面白みはないですが、正攻法が一番だと思います。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、『定期的に一定金額で購入する』という投資手法のことです。
安い時に買って高い時に売れば利益が出るわけですが、「高い、安い」というのは後になって分かることで、その判断は非常に難しいです。
従って、定期的に購入することで、その期間の平均的な価格で購入することができ、最悪のタイミングで購入することを防げます。
また、同じ金額ずつ購入するということは、価格が高い時には購入する口数が少なくなり、価格が安い時には購入する口数が多くなります。
ドルコスト平均法は、最高の結果を得ることはできなくても、そこそこの結果を得られる投資手法ということが言えます。
多くの金融機関で自動積み立てサービスを行っていて、これを利用することで、楽にドルコスト平均法を実行できます。
アセットアロケーションとリバランス
アセットアロケーションとは、資産配分のことで、「アセット」は資産、「アロケーション」は配分を意味します。
ここでの資産は一般的に、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式などを指します。
つまり、アセットアロケーションとは、投資資金を複数の資産に配分して運用することをいいます。
運用成績の約9割は、アセットアロケーションに依存するという調査結果があるくらい、アセットアロケーションは重要なものです。
そして、運用の結果、資産配分が、設定した資産配分から変化した場合に、配分が大きくなったものを売り、配分が小さくなったものを買うなどして、設定した資産配分に調整することをリバランスといいます。
リバランスは「高いものを売り、安いものを買う」という合理的な投資行動であると言えますが、設定した資産配分からの変化が小さい時にリバランスを行うと、上昇初期(下落初期)の段階で売って(買って)しまうことになり、利益を取り逃したり、損失を大きくしてしまうことになるので、リバランスは、設定した資産配分からの変化がある程度大きくなってから行うのが良いでしょう。
また、リバランスにはコストがかかるため、頻繁に行うと運用成績にとっても良くないので、ある程度の期間を空けて行うのが良いでしょう。
分配金と長期投資
分配金を出す投資信託は、分配に経費もかかりますし、分配金を再投資するコースであっても税引き後の分配金を再投資することになるので、長期的には分が悪いです。
長期保有するなら、分配金を出さずに内部で再投資する投資信託のほうが有利です。
分配金の有無による違いをもう少し解説すると、
資産総額=基準価額×口数
分配金は、預かったお金を運用しながらその一部を返しているだけなので、分配金を出せばその分だけ基準価額が下がります。
つまり、分配金を出した後に再投資する投資信託は、分配金を出した分だけ基準価額が下がり、分配金を再投資すれば口数が増えます。
一方、分配金を出さない投資信託は、分配金を払うことによる基準価額の下落はないけれど、追加投資しない限り口数は増えません。
結局、上記の式における資産総額は、分配金の有無に関わらず概ね同じになります。
違いは上述の通り、分配にかかる経費や税金の分だけ差が出るということです。
ただ、長期に渡って基準価額が低迷した場合、分配金のない投資信託を保有し続けるのは精神的につらいことです。
したがって、分配型投資信託の方が長期保有しやすいかもしれません。