投資の極
健康保険改革
公開日:2012年8月10日、最終更新日:2013年1月23日
国民健康保険などの『公的健康保険』の問題点や改革案について考えてみました。 保険?社会保障?
まず、公的健康保険(以後、「健康保険」と表記)は「保険」なのか、それとも「社会保障」なのかについて考えていきます。
保険料(保険税とも言う)は、自治体によって異なりますが、所得割・資産割・均等割・平等割によって算出され、上限額(50万円前後)が決められています。 このうち、所得割と資産割は「担税力に応じた負担」、均等割と平等割は「一定の保険料」に相当すると考えられます。 しかし、上限額が設定されているため、「担税力に応じた負担」を十分実現できているとは言えず、誰も納得できない中途半端な制度だと思います。 現行制度の問題点
窓口負担が安すぎるため(特に高齢者の場合)、必要以上に病院を利用してしまい、国民負担増大の一因になっています。 改革案@ - 財源 -
このページの最初で、健康保険は「保険」なのか、それとも「社会保障」なのかについて考えたわけですが、どちらであるべきでしょうか。
あるいは、現在のような保険と社会保障がごちゃ混ぜになった制度でいいのでしょうか。 保険は自分で自分のために入るものであり、それができない人のための公的支援制度なわけですから、社会保障であるべきだと考えます。 そして、社会保障であるなら、その財源は、担税力に応じて負担された税であるべきです。 現在の税制が「担税力に応じた負担」を実現できているのかという点に疑問はありますが、それはさておき、健康保険の財源を税で賄うことについて具体的に考えていくことにします。 2009年度の社会保障給付費のうち医療費分は約31兆円、2010年度の個人住民税は11.4兆円、消費税は1%で約2兆円、これらを元に計算すると、
健康保険の財源を消費税や所得への一律課税で調達した場合の利点は、保険証を取り上げられることがなくなることと、分かりやすくなる(透明性が増す)ことでしょう。 現在は保険料(保険税)だけでなく、国や自治体からの補助金がかなり入っていて、社会保障としての医療費にどのくらい費やされているのかが実感できていないのが現実です。 払っている健康保険料(保険税)の金額を見て「高い」と感じているかもしれませんが、実際は税金などの形でもっと負担させられているのです。 どのくらい負担させられているのかを分かりやすくすることは、医療改革に抵抗して医療費を増大させようとしている人たちへの牽制にもなるでしょう。 分かりやすさという点では、消費税よりも所得への一律課税が望ましいと考えます。 その場合、名称は「健康保険税」などとして、より分かりやすくするべきでしょう。 それからもう一つ 財源に関して提案があります。 それは、たばこ税の全額を健康保険の財源にしてはどうかということです。 タバコの健康への影響を考えれば、妥当な措置だと考えます。 ちなみに、タバコ税による税収は年間2兆円強あります。(財務省のウェブサイトによる) 改革案A - 保険選択性 -
現行制度では自由に健康保険を選ぶことはできませんが、民間にも健康保険に相当する保険を用意してもらい、自由に選べるようにするというのはどうでしょうか。
公的健康保険も現在と同じ保障内容のまま残しておき、これを選択すれば現行制度と何ら変わりないサービスを受けられるようにしておきます。 そして、各保険会社(公的機関も含む)が受け取る保険料(保険税)は、保険加入者の属性に応じて配分します。 例えば、医療費がかさむ高齢者がたくさん加入していれば、その分多くの保険料(保険税)を受け取るという具合です。 この制度を導入するとどんな変化が生じるでしょうか。 まず考えられるのは、無駄(非効率)な検査・健診が減るのではないかということです。 民間の保険会社であれば、本当に将来の医療費を減らせる検査・健診は何であるかを調査し、それを推奨するでしょう。 なぜなら、医療費(保険金の支払い)を減らすことが保険会社自信の利益に直結するからです。 これによって無駄な検査が減り、医療費を抑制することになるのではないでしょうか。 次に考えられるのは、病院利用を控える動機付けが生じるのではないかということです。 民間の医療保険には、保険金の支払いがなかったり少なかった場合に「健康お祝い金」などというものを給付する保険があります。 そして、民間が用意する健康保険にもこのようなものが用意される可能性があると考えられます。 「健康お祝い金」が病院利用を控える動機付けになり、医療費増大に歯止めをかけられるかもしれません。 結果的に、健康に対する意識も高まるのではないでしょうか。 最後に、この保険を選べるようにする制度の名称についてですが、「(国民)医療保険(加入)保障(制度)」というのが制度内容に即しているでしょうか。 関連ページ |
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